
※この記事は、企業ブランディングについて学ぶための学習資料・振り返り資料として作成しました。基礎知識の習得や知識の整理などに、ご活用ください。
企業の役割
企業は、私たちが生活する社会の中で重要な役割です。
その役割を理解することは「自分が何のために働いているのか」を理解するための第一歩であり、
どの業界や業種、規模、部署に所属しているかにかかわらず、すべての人に共通することです。
社会は、企業が存在する場所です。
企業と社会は密接に関連しており、持続可能な社会を阻む企業は、最終的に自分自身と周囲に害を及ぼすことになります。
持続可能な社会を実現するためには、各企業が短期的な利益や過剰な利益を追求してはなりません。企業の存在は社会と密接に関連しており、企業自身が社会の存続に貢献する存在でなければなりません。
企業や組織に関わる人々は、利害関係者という経営用語で表されます。利害関係者は、ステークホルダーの日本語訳で、企業の成長や存続に影響を及ぼし、利益や損害を共有する関係者を指します。企業のパートナーであり、価値を生み出し、提供する役割を果たします。
ブランディングにおいては、ステークホルダーへの理解が欠かせません。
代表的なステークホルダーを4つに分類
企業のステークホルダー
■現在のステークホルダー
- 経営者/社員
- 顧客→BtoB(企業間取引)でもBtoC(企業と消費者間の取引)でも同じで、企業の商品やサービスを購入する人々
- 取引先→供給網(サプライチェーン)を形成する
- 株主/金融機関
- メディア/報道機関
- 地域社会の住民/行政機関
■未来のステークホルダー
- 社員候補
- 市場
- 業界全体
- 投資家
- メディア/報道機関
- 地域社会
ブランディングとは、社員、学生、顧客(BtoB、BtoC)、取引先やパートナー、投資家、メディア/報道機関、地域社会など、さまざまなステークホルダーから選ばれ続けるための活動を指します。
企業が目的を達成するためには、自社のステークホルダーを理解し、その意義や行動に影響を与えなければなりません。ステークホルダーは個人でも法人でもあり得ます。
まず自社にとって誰がステークホルダーなのかを明確にする必要があります。さまざまな情報を集め、分析することが求められます。
例えば、社員やスタッフはどのような意識で仕事に取り組んでいるのか、顧客はどのような判断で商品を購入したり、サービスを利用したりしたのかを理解することが重要です。
顧客が今後、サービスの利用を続けるか、やめるかの判断も重要な情報。これらの情報はすべて自社が発信し、共有した情報によって影響を受けます。
自社とステークホルダーを深く理解することが、企業の成長と存続にとって必要なのです。
企業経営の本質
企業経営の本質を理解することは、個人の成長と企業の生産性の大きな影響を与えます。
8つの軸があります。
- 経営目的
- MVV(Mission、Vision、Value)
- 経営戦略
- CSR(企業の社会的責任)
- 広報/PR
- リスクマネジメント
- 経営資源
- 企業価値
経営目的
ステークホルダーに選ばれ続けることは、すべての企業に共通する経営目標。
MVV
- Mission(指名)→企業が存在する理由や目的を示します。企業がどのような存在であるべきかを問います。
- Vision(将来像)→企業が将来的に達成したい目標や理想を示します。企業がどのような姿を目指しているかを表します。
- Value(価値観)→企業が事業を営む上で大切にする価値観や行動指針を示します。
企業がどのように進むべきかを示す指針で、ステークホルダーの視点から考えることが重要
MVVとは何かという問いに対する答えは、「ステークホルダーに対する誓い」。
経営の目的は、ステークホルダーから選ばれ続けること。選ばれ続けるということは、社会や市場から必要とされなくなることを意味します。
参考
トヨタのMVV
- Mission わたしたちは、幸せを量産する
- Vidion 可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える
- Value トヨタウェイ
コミュニケーションを構成する4つの要素
ステークホルダーとの良好な関係を築くためには、コミュニケーションが不可欠。双方向を前提としており、4つの要素がある。
- 見る
- 聞く
- 考える
- 話す(伝える)
リスクマネジメント
国際規格ISO31000では、リスクを「目的に対する不確かの影響」と定義されています。
企業や組織は、良い情報だけを共有する傾向がありますが、上場企業はIR(株主向け広報)の一部としてリスク情報を開示することが義務付けられています。すべての企業が価値をともに生み出すパートナーに対して透明性を保つべきであることは言うまでもありません。
ISO31000では、ステークホルダーとのコミュニケーションと協議について以下のように言及しています。
- ステークホルダーに情報を提供する
- ステークホルダーと情報を共有する
- ステークホルダーから情報を取得する
ステークホルダーと信頼関係を築くためには、隠し事は許されません。自己開示が非常に重要です。
企業が主導的な立場にある場合、自社の弱点やリスクをステークホルダーに開示することが信頼を得るための第一歩となります。
経営資源
4つの要素
- ヒト →企業の人材を示します。経営者や社員が含まれます。彼らはきぎょの最も重要なステークホルダーといえ、価値を生み出すための基盤です。
- モノ →企業が製造または販売する商品・サービスを指します。
- カネ →企業が利益を上げ、資金とする場合、その利益は顧客からの支払いによって生じます。これもまたステークホルダーから提供されます。
- 情報 →企業経営は、絶えず変化する経済、社会、自然環境に対応する必要があります。これらに適応することで企業は存続し、成長します。
企業価値
企業価値とは、ステークホルダーの信頼の総和です。
言葉だけでなく、日々の営みの中ですべてのステークホルダーと正面から向き合い、価値を共に生み出す仲間として大切にし、信頼と共感で結ばれた関係を続けていくことが重要です。MVV、経営戦略、企業価値は連携しています。
ブランディングは、企業が永続的に存在するための原動力です。
ステークホルダーをブランディングの中心に据えることで、企業は持続可能な社会を実現するための役割を果たすことができます。
ブランドの本質
ブランディングについて詳しく説明している情報もありますが、大部分は説明がなく、デザインや広報と同じように使われています。
「知名度を上げること」「自社のWebサイトなどをデザインすること」「ロゴやスローガンを作ること」などの意味で使われています。
Googleで調べてみると、
とさまざまです。
ブランドを構成する2つの価値
企業ブランドは、
「機能的な側面」
「情緒的な側面」
の2つの要素から成り立っています。
企業ブランディングとは
企業ブランディングとは、企業が自社のブランドを構築し、向上させる取り組みのことを指します。これは永続的なプロセスで、終わりはありません。
企業ブランディングとは何を意味し、何をすることなのか。
企業ブランディングとは、自社の魅力を相手の心に焼き印をすること。
企業が主体となり、積極的に取り組むことで、この焼き印をつけることが可能になります。
その中でも最も重要な取り組みの一つが情報発信です。情報を継続的に伝えることで、企業が持つ魅力が相手の心に刻まれます。
次の2つの問いに答えることが大切です。
- 誰の心に「焼き印」をつけるのか?
- 何を「焼き印」するのか?
これらの問いに答えることで、ブランディングの全体像が明確になり、具体的な取り組みが可能になります。
誰の心に「焼き印」をつけるのか?
企業ブランディングの最も重要な目標は、すべてのステークホルダーから深い共感を得ること、つまり心に「焼き印」をつけることです。誰も見逃さず、見過ごさず、見失わず、すべての人々から深い共感を得ましょう。これが、真のブランディングの目指すところです。
築き上げた信頼や企業価値は、不祥事や事故が起こったり、危機に直面した際の不誠実な対応により、簡単に失われます。信頼関係は壊れ、すべての関係が崩壊します。
企業ブランディングとは、自社の魅力をステークホルダーの心に深く刻むことです。
この魅力は、自社の機能的な価値(実力)と情緒的な価値(人柄)の両方から成り立ちます。これらの要素を伝え続けることで、ステークホルダーの心に深い共感や一体感を生み出します。
情熱がなければ、深い共感を生み出すことはできません。ブランディングの始まりや起点には、創業者や経営者の情熱が必要です。
例えば、欧州のラグジュアリーブランドが世界中で愛され、評価され、高い価値を維持できている理由の一つは、情熱がブランドを構成する重要な要素であるということです。
ブランディングとマーケティングの関係
マーケティングは、新しい関係を築くための活動です。未来のステークホルダーとの新しいつながりを求め、商品市場、労働市場、金融市場などで情報を発信し続け、コミュニケーションを行います。
一方の、ブランディングは、すでにつながった人々(個人や法人)との関係を強化し、深め、いじするための活動で、既存のステークホルダーとのつながりを長期間続けることです。
つまり、マーケティングは新しいつながりを作る役割を果たし、ブランディングはそのつながりを強化し、深め、維持する役割を果たします。
ブランディングとは、選ばれ続けるための情報発信
情報発信の目的は、「認知を得るため」「選ばれるため」の2つです。しかし、一度選ばれたからといって、それが永遠に続くわけではありません。社会全体は激しい競争の中で常に変化しています。
情報は、主に機能的な側面と情緒的な側面の2つから成り立っており、認知されて、つながりを強くするためには下記の点に考慮します。
機能的な側面
企業や商品・サービスなどの具体的な特徴や強みを伝えるための情報です。企業名や商品名、サービス名、財務状況、組織力、開発力、性能などが含まれます。これらの情報を発信することで、ステークホルダーは企業や商品・サービスを認知し、理解します。
情緒的な側面
企業の「人間性」を伝えるための情報です。経営者の思考や価値観、目指すもの、社員の体験談やエピソード、開発秘話や苦労話、失敗談などが含まれます。これらの情報を発信することで、ステークホルダーとのつながりを深め、強化します。
さらには、最近では顧客自身の体験も重要な情報となっています。これは、CX(顧客体験)、UX利用者体験)、VOC(顧客の声)などと呼ばれ、ブランディングを牽引する情報となっています。
つまり、ブランディングとは、記号の魅力を最大限に引き出すことであり、機能的な側面と情緒的な側面の両方の情報をうまく組み合わせ、ステークホルダーに伝える活動なのです。
そして、これらの情報発信は、マーケティングの基盤があってこそ可能となり、ブランディングへとつながっていきます。
マーケティングは未来のステークホルダー、ブランディングは現在のステークホルダーを対象にしています。下記にそれぞれ列挙します。
ブランディングの対象
- 経営者/社員
- 顧客(個人、法人)
- 取引/提携先
- 株主/金融機関
- 地域社会(住民、行政)
- 報道機関など
マーケティングの対象
- 後継者(ヘッドハンティング、事業承継)
- 新卒(大学生など)
- 生活者(個人)/市場(法人)=自社の新規顧客対象者
- 業界(供給網/販売網などの新規取引候補者)
- 投資家(個人投資家、機関投資家、金融市場)
企業ブランディングの目的
企業ブランディングを改めて定義すると、自社の魅力をすべてのステークホルダーに伝え、深い共感を生み出すことを指します。
これは経営者の情熱がなければ達成しません。
そして、機能と情緒の両方の情報を伝え続けることで、ステークホルダーの心に「私たちは仲間、パートナーだ」という一体感が生まれます。
このような状態になれば、どんな困難に直面しても、ステークホルダーは一緒に困難を乗り越えることができます。そして、自社を選び続けてくれます。
また、一度きりの取り組みではなく、継続的な努力が必要です。
これは「ローマは一日にして成らず」や「千里の道も一歩から」の言葉が示すように、時間と努力を必要とするプロセスです。
企業が存続を目指す限り、このプロセスは終わりません。つまり、ブランディングには終わりがないということになります。
企業ブランディングの目的は、「選ばれ続ける」ためであり、企業が存続するために実践するのです。
参考・引用文献 ブランディングの基本と同行がよ~くわかる本